機能性デバイスの原子配列解析
研究概要
私は放射光施設が供給する高輝度・高エネルギーのX線を利用して、原子配列の解析を行なっています。近年開発した結晶構造解析技術によって、リチウムイオン二次電池の正極部材で高い充放電容量を実現する構造的メカニズムを解明することに成功しました。また、別の正極部材では結晶と非晶が混在し、既存の構造解析技術では原子配列を明らかにすることは不可能とされていましたが、結晶部分と非晶部分の構造情報を分離する技術を開発したことによって、初めて結晶・非晶混合物の原子配列解析に成功しました。今後はリチウムイオン二次電池材料にとどまらず、構成部材の混合物とも言える実デバイスの動作中に生じる原子配列変化の直接観測を行いたいと考えています。
アピールポイント
結晶だけ、非晶だけを解析できる研究者は多いですが、私のように結晶も非晶も、さらにはそれらの混ざり物でさえも解析できる研究者は数少ないと思います。結晶・非晶混合物の解析技術は、機能性デバイスの直接観察などにおいて、近い将来に高い需要が生まれるものと期待しています。